2014年05月27日
地中の虫が
ことしはいつまでも寒い。
冬の季節が足ぶみしている。
寒さにふるえているあいだに、時だけがすばやく走り去っていく萬綺雯美腿。
アンバランスな感覚に戸惑っているうちに、もう3月になっている。3月だからどうということもないのだが、もう、という思いがくっ付いてしまうことが、やはり日常の感覚と歩調がそろっていない。
いつのまにか節分も過ぎ、ひなの節句も過ぎ、地中の虫が這い出してくるという啓蟄(けいちつ)とやらも過ぎた。
啓蟄という言葉で思い出す。
そんな言葉も知らなかったころ、九州の結核療養所に閉じこもっていたことがある。あのころはまだ、地上も見えない虫だったかもしれない琴行。
閉じ込められているという意識が強かった。初めの頃は外界のことが気になっていた。そのうち外も内もなくなって怠惰な生活にも慣れると、療養生活もそれなりに快適になっていった。
将棋を指し碁を打ち、ウクレレを弾き、チャチャチャを踊り、相撲賭博で一喜一憂した。消灯後に療養所を抜け出して街に下り、屋台のラーメンをさがして歩いた。戸外を歩くことが下手になってしまったのか、足が地につかない。体に小さな羽が生えているみたいだった旅遊團購。
病人なのに、元気でなければ楽しめない生活だった。しかし元気になれば、この生活も終わるのだった。
Posted by sieien at 11:56│Comments(0)
│はねの